残暑お見舞い申し上げます

1998/8     平田雄公子

 このところ気候変調ですがお変わり無くお過ごしのことと拝察致します。さて小生この夏思い立ってパッケージ・ツアーで、ヨーロッパ(ドイツ・スイス・フランス。その間フランクフルトからパリまでは、船・バス・電車・新幹線:TGV利用。)を旅行して参りました。季節・風土の異なる場所での俳句いわゆる海外吟は、俳句として邪道であることも十分承知しておりますが、近況ご報告代わりとして、その折りの句作の幾つかをお目にかけます。涼しかった旅の一端でもお伝えできたら、この上ない幸いです。

『父子城(ホーヘンシュバンガウ城とノイシュバンシュタイン城)』
Copyright(c) HIRATA Yukoshi


  ドイツ

<マインツ>

夏の航(こう)川幅尽すライン河

河も丘もゆるやかに青葡萄かな

麦刈って指呼(しこ)に尖塔二つ三つ

<ローテンブルク>

城市(じょうし)夏窓のすべてにゼラニウム

石畳戞(かっ)と蹄(ひづめ)や立葵

浪漫街道(みちすじ)に鹿の立札夏果つる

<フュッセン=ノイシュバンシュタイン城>

夏霧を裁ちて鎮もる白鳥城

蛞蝓(なめくじ)も登城するかや白鳥城

森深く瀧を蔵(ぞう)して父子の城


  スイス

<インターラーケン=ユングフラウヨッホ>

男郎花(おとこえし)チロルに響く牛の鈴

逝く夏の雲やり過ごす峯の牛

北壁(アイガー)に滞りをる晩夏光(ばんかこう)

あでやかに氷河を纏(まと)ふ夏の峰

息せき切ってユングフラウの夏惜しむ

ことこととフォンデュの鍋や秋隣


  フランス

<パリ>

大振りの雀と巴里の夏惜しむ

壁洗ふノートルダムや合歓(ねむ)の花

調律のパイプオルガン秋の寺

アカシアの花は卍(まんじ)に凱旋門

さざめきや片陰(かたかげ)無用シャンゼリゼ


 以上二十句、如何でしたでしょうか。アルプスの山自体や湖沼、それにベルサイユ宮殿 等は景が大きすぎまして、歯が立ちませんでした。俳句にはも一つご興味の薄い方のた め、蛇足ですが、以下散文的な印象も付記いたします。なお、同行した妻は初めての海外だったのですが、チップ支払い等にも慣れ、それなりに旅行を満喫したようです。

*ドイツでは、ライン河下りのほか、古城・浪漫・アルペンの三街道をバス旅行したのでしたが、観光施設での日本語表示の極めつけは、ドイツ語と日本語(傍点箇所)が併記された「ROMANTISCHE STRASSE(ロマンチック街道)」という立札が浪漫街道の要所要所に、道路標識として麗々しく設置されていたことです。

*ユングフラウヨッホは又の名TOP OF EUROPEという標高3,454メートルの展望所ですが、ここの郵便局つまり世界?最高所の郵便局に日本の丸くて赤い例の昔の郵便ポストが、〒マークとともに、現役勤めをしていました。

*エッフェル塔には、2,000年まであと520日の電光掲示が見られ(7月30日当時)、とて も印象的でした。21世紀へのカウントダウンの見せ場としてこれ以上のものは無いで しょう。それで番外として、

エッフェル塔見上げ二人の夏果つる

*また、パリのホテルでデザートに食べた山盛りの苺は、実に苺々した苺とでも言いま しょうか、美味でした。一体に彼地の野菜類は見た目不揃い・不器量であっても、味わい深いようです。

以上ご一読またはご瞥見有り難うございました。

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このページは、平田雄公子さんからいただいた残暑お見舞いの電子メールを、ご本人のお許しを得て、内田輝明がHTML形式に構成したものです。

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(内田輝明)

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